裏風俗ぶらり旅
日本全国を旅する風俗評論家・岩永文夫氏が各地の裏風俗や温泉、酒、うまいもの、観光地などを紹介する旅情いっぱいのコラムです!
#1 道後温泉(愛媛県)
多くの観光客でにぎわう日本屈指の温泉街
色里や十歩はなれて秋の月
なんとも風情のある俳句であります。いま話題のNHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」の登場人物・正岡子規の名句。ここでいう「色里」とはこの作品の舞台である彼の故郷、四国は愛媛県の松山市にある道後温泉のこと。
「坊ちゃん湯」で知られる道後温泉本館
正岡子規の石碑
この句は立派な石碑となって、道後温泉の象徴ともいえる“坊っちゃん湯”の名前で知られる共同浴場の近くのお寺の境内に建っている。大きくてレトロな雰囲気の浴場の建物の脇の道を登り、さらに左に折れてダラダラ坂の奥まったところにあるのだ。ついでに、このダラダラ坂を「ネオン坂」という。
道後温泉といえば我が国でも屈指の歴史と伝統のある歓楽温泉だ。温泉に浸ってのんびり身体を休ませようという人たちよりも、温泉に遊びにきた開放感を十分に楽しもうというムキのほうが多いニッポンならではの温泉街なのである。
そこで道後で遊ぼうと思ったら……もちろん何でもあるぞ。メニューは揃ってます。表のほうのフーゾクならソープランドもあればヘルスもあるし、デリヘルだってしっかり頑張っている。
チョンの間、連れ出しスナック、一発屋…なんでもそろう裏フーゾク
フーゾクならなんでもそろう!ネオン坂
それよりもスリリングで刺激的なアンダーグラウンドな裏フーゾクを求めたら…もちろん各種取り揃えています!ひとつ例をとってみれば、夜な夜な街角のちょい暗がりに立ち現われるポン引きのオバちゃん。これは彼女たちがお相手をしてくれるわけではありません。念のため。もちろん妙齢の御婦人が何処かで待っていてくれるはず。
彼女たちがお客さんを引っ張っていく先はイロイロ。数ある業種と店のなかから、それなりに選ぶのだ。でも究極は、やはり先ほどの坊っちゃん湯の裏手のスナックが何軒か並んでいるネオン坂という色里(色街)である。こちらにあるのは、いわゆる“チョンの間”といういま流行りのフーゾク。たいていの店の造りはスナック風になっていて、ここで一切の話を決めたらしかるべきところに行っていざ一発という。実に分かりやすいフーゾクビジネスなのである。
しからば、その一発を何処で致すのかというと、その店の二階であったり、すぐ近くのお嬢たちが住んでいるアパートであったり。それでもって、お代の方はというと、40分一本勝負で大一枚から一枚半が相場。どうして一枚であって、なぜに一枚半なのか。答えは簡単、一枚というのは直接店に当人が赴けばそれですむ。一枚半は連れて行ってくれたオバちゃんへのキックバック分が上乗せされるからだ。でも、ちょいとスケベ面をして鼻の下を伸ばして行けば足元を見られて、それ以上のことをフッかけられないとも限らない。くれぐれも歓楽温泉街では鼻の下は縮めておくこと。
松山鮓(すし)
…とここまで一気に松山・道後のフーゾク事情を、いろいろ書き放してきてしまったが、それほど急ぐことはない。なにしろ御当地には裏のフーゾクだけでもチョンの間もあれば、坊っちゃん湯の前のアーケード街のなかには連れ出しスナックもあるし、倒産してしまった古いホテルを再利用しての一発屋もある。もちろん温泉なのだから枕芸者のお姐さんたちだって手ぐすね引いて待ってるぞ。
どうも歓楽温泉街の話となると気が急いてしまうというか。気が(決して別の部位ではなく)タッてしまうのだ。男なもので……。
新鮮な海の幸とおいしい地酒…満ち足りた気分になれる夜
愛媛の地酒「梅錦」
それにしても人間、ことに及ぶなら、しっかり腹の方も作っておかなければならない。松山といえば魚介類の豊富な瀬戸内海に臨んでいるわけで、タイ、アナゴ、タコ、アコウといった美味しい肴をまずは貪るように喰らいつつ、地酒の旨いところで、たとえば「梅錦」などをばキューッとヤっつけて。満ち足りた余裕のある気分でお嬢たちと遊びたいものである。
そんな男の夢のような一夜をかなえてくれるのが道後温泉の夜なのだ。
岩永 文夫
1948年東京生まれ。風俗評論家。音楽雑誌「新譜ジャーナル」(自由国民社)編集長を経て、80年代より夕刊紙、 週刊誌などの風俗評論で活躍。著書:「フーゾク進化論」(平凡社)、「フーゾクの経済学」(ワニのNEW新書)など。
◆著書紹介
フーゾク進化論 岩永 文夫(著)
価格:¥840
戦後60年、大きく進化し続ける「フーゾク」の歴史を、取材をもとに縦断的に紹介。
フーゾクの経済学―欲望産業の原価がわかる本 岩永 文夫(著)
価格:¥680
女の子や経営者の取り分はどうなっているのか、高級店と大衆店のサービスの違いは何か、芸者の時給3714円は高いか安いかなど、フーゾクに絡む経済のすべてを紹介。